1時間ほどの家事や移動の間に一作を聴き終えたいなら、『ダブル・クロス』。毎日少しずつ違う物語を楽しむなら、『うどん キツネつきの』。謎を一つずつ解いていきたいなら、『シャーロック・ホームズの冒険』がおすすめです。
この記事の目次
今日の空き時間に、一作を聴くなら
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| 聴きたいもの | 作品 | 長さと区切り |
|---|---|---|
| 1時間ほどで終わる犯罪小説 | ダブル・クロス | 一作50分 |
| 東野圭吾の音声オリジナル | 誰かが私を殺した | 2時間47分。一つの作品 |
| 王子と飛行士が出会う物語 | 星の王子さま | 日高のり子版は3時間2分 |
| 日常に混じる不思議な話 | うどん キツネつきの | 5編を収録 |
| 亡くした人や離れた人を思う話 | 夜に星を放つ | 一編ごとに人物が替わる短編集 |
| 探偵と一緒に事件を追う話 | シャーロック・ホームズの冒険 | 1巻に2事件ずつ収録 |
日本語音声版の時間と朗読者を一覧で比べる
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| 作品 | 形式 | 朗読者 | 全体の時間 |
|---|---|---|---|
| ダブル・クロス | 短い一作 | 上野翔 | 0時間50分 |
| 誰かが私を殺した | 音声オリジナル | 寺島しのぶ・松坂桃李・逢田梨香子・高橋克典ほか | 2時間47分 |
| 星の王子さま | 一作完結 | 日高のり子 | 3時間2分 |
| うどん キツネつきの | 短編集 | 浅井晴美 | 7時間52分 |
| ツミデミック | 短編集 | 馬場蘭子 | 7時間10分 |
| 夜に星を放つ | 短編集 | 羽飼まり | 7時間16分 |
| 鍵のない夢を見る | 短編集 | 野口花緒 | 7時間31分 |
| 可燃物 | 短編集 | 山内健嗣 | 8時間39分 |
| 往復書簡 | 短編集 | 長良真里 | 9時間17分 |
| 婚活中毒 | 短編集 | 吉田麻実 | 5時間59分 |
| 汚れた手をそこで拭かない | 短編集 | 野崎千華 | 6時間58分 |
| 儚い羊たちの祝宴 | 短編集 | 飯野めぐみ | 9時間22分 |
| 満願 | 短編集 | 星祐樹、ささきのぞみ | 10時間32分 |
| シャーロック・ホームズの冒険 | 短編集 | 吉開清人 | 13時間0分(6冊合計) |
| 火曜クラブ | 短編集 | 菱田盛之 | 10時間38分 |
1時間以内で一作を聴く
ダブル・クロス
著者:ジェフリー・ディーヴァー
デトロイトの犯罪組織で使い走りをする男に、大きな仕事が回ってきます。「パパ」と呼ばれるボスとその手下が、パパに借りのある男を盗難車のトランクに押し込み、郊外の森へ連れていきます。追い詰められた男が持ちかけたのは、金庫に隠された債券の話でした。
無記名債券を奪う計画で、使い走りの男にも10万ドルの取り分があります。ただし、計画には人を殺すことまで含まれています。小銭を稼いできた男は、まだ殺しの経験がありません。大金を得る話と、踏み込んだことのない犯罪が一緒に差し出されます。1時間以内に聴き終わる短編です。

約3時間の一作を、日を分けて楽しむ
誰かが私を殺した
著者:東野圭吾/朗読:寺島しのぶ、松坂桃李、逢田梨香子、高橋克典、新藤みなみ、勝杏里、さとうあい、稲葉実、四宮豪、柿田よしくに、谷口誠太郎、荻野晴朗、坂本くんぺい
亡き夫の墓参りに来た女性が、突然背中に衝撃を受ける。気づいたときには、魂だけがこの世に残っていました。亡くなった本人が、加賀恭一郎と女性刑事・新澤の捜査を見守り、自分が殺された理由を考えます。
これは、東野圭吾さんがAudibleのために書いた完全オリジナルの物語です。寺島しのぶさん、松坂桃李さんらが出演する音声版です。ここでしか聴けない音声作品を探している人にも勧めます。
私は、この作品がめちゃくちゃ面白かったです。いろいろな人の話が別々に進んでいるように見えて、実はつながっていく。そのつながりを楽しんでほしいので、特に傘のことは覚えておいてください。
編集部には、加賀恭一郎シリーズを知らずにこの作品を聴き、ここからほかのシリーズ作品も聴き始めたメンバーがいます。加賀の長編をまだ読んだことがない人にも、手に取ってほしい一作です。

星の王子さま
著者:サン=テグジュペリ
サハラ砂漠に不時着した飛行士に、小さな星から来た王子が旅の話をします。原作で王子が出会う大人の一人は、初対面の彼まで家来と見なす王様。あくびを禁じたかと思えば、今度はあくびをするよう命じ、王子を困らせます。星を巡る旅の中で、大人の言葉や振る舞いが、子どもの目から奇妙に見えてきます。
ここで選んだのは、日高のり子さんが内藤濯さんの訳を読む版です。王子と飛行士のやり取りを、一人の朗読で聴けます。

不思議な日常や、人との関係を一編ずつ読む
うどん キツネつきの
著者:高山羽根子
「うどん キツネつきの」は、犬によく似た奇妙な生き物を飼う三姉妹の話です。始まりは、下校中の和江がパチンコ屋の屋上から聞こえる音に気づく場面。一緒にいた美佐と、大きなゴリラの人形が置かれた屋上へ、外階段を上っていきます。
収録作は「うどん キツネつきの」「シキ零レイ零 ミドリ荘」「母のいる島」「おやすみラジオ」「巨きなものの還る場所」。多言語が飛び交うアパートや子どもの日記など、ほかの話にも、見慣れた暮らしからはみ出す不思議があります。

ツミデミック
著者:一穂ミチ
大学を中退し、夜の街で客引きをしている優斗。ある晩声をかけてきた女性は、中学時代に死んだはずの同級生の名前を名乗ります。「違う羽の鳥」は、そんな出来事から始まります。
別の話では、失業して家にこもりがちな父親が、小学1年生の息子の持つ古い一万円札に気づきます。同じ時代に暮らしていても、一人ひとりの家の中や事情は見えない。そんな隔たりを、違う人物の物語から聴いていく短編集です。

夜に星を放つ
著者:窪美澄
「真夜中のアボカド」では、綾が月に一度、村瀬と話す時間を心の支えにしています。村瀬は、亡くなった双子の妹の恋人だった人。綾自身は、婚活アプリで出会った恋人との関係が進まずに悩んでいます。
「湿りの海」の主人公は、妻と娘がアメリカのアリゾナ州へ旅立った後を生きています。「星の随に」には、実の母親と一緒に暮らせない少年が登場します。死によって失った人だけでなく、離れて暮らす家族への思いも、それぞれの一編で描かれます。
綾が村瀬と会う時間には、現在の恋人に話すのとは違う、妹を知っている相手と話せる意味があります。大切な人がいなくなった後も、仕事や恋愛や日々の暮らしは続いていく。その寂しさに触れながら、人とのつながりをもう一度考えたくなる短編集です。

鍵のない夢を見る
著者:辻村深月
友人の母親が盗みを繰り返している。結婚をせっつく周囲にうんざりしている女性のそばで、火事が続く。小さな町のありふれた暮らしに、窃盗や放火、暴力が入り込む五つの話です。
出会い系サイトで知り合った、暴力を振るう男と逃避行をする女性の話もあります。結婚をせかされたくない、誰かと一緒にいたい。そうした気持ちから始まる話に、盗みや放火が近づいてきます。
ひとつの大きな事件を同じ主人公が追うのではなく、五人の女性それぞれの暮らしに視点が移ります。どの人物にも賛成できるとは限らなくても、その人がなぜ今の生活から抜け出したいのかが気になってくる。少し嫌な気持ちが残る物語も読んでみたいときに。

事件や謎を一編ずつ聴く短編集
可燃物
著者:米澤穂信
群馬県警の葛警部が捜査する、警察小説の短編集です。収録作「崖の下」では、スキー場で遭難の通報が入り、捜査員が向かった現場で男性の遺体が見つかります。刺された跡はあるのに、凶器が見当たりません。
証拠や証言を一つずつ検討し、考えられる可能性を絞っていく。その捜査を、別の事件でも同じ刑事と追える一冊です。派手なアクションより、「この証拠から何が分かるのか」と考える推理を楽しみたい人に勧めます。
往復書簡
著者:湊かなえ
地の文と会話が続く普通の小説とは違うものを聴いてみたいなら、手紙のやりとりだけで進む連作ミステリーです。往復を重ねるうちに、過去の出来事の見え方が変わっていきます。
第1編「十年後の卒業文集」では、高校時代の同級生が結婚式で再会します。そこに来なかった千秋は行方不明です。目の前で会って話す相手には言えないことも、手紙なら書ける。相手に何を伝え、何を伝えずにいるのかが気になってきます。

婚活中毒
著者:秋吉理香子
結婚相談所、街コン、親による代理婚活。相手を探す場所が替わる四つのミステリーです。第1編「理想の男」では、沙織が結婚相談所から紹介された杉下を疑い始めます。見た目も人柄も収入も申し分ないのに、なぜ相手が見つからないのか。以前彼を紹介された女性たちに話を聞きに行きます。
「婚活マニュアル」では、受験や就職でもマニュアルを頼ってきた会社員が、婚活の本を読んで街コンに参加します。「リケジョの婚活」の女性が狙うのは、お見合い番組でひと目惚れした男性。データを使って本命に近づこうとします。「代理婚活」になると、息子の相手を探す両親が主人公です。ところが父親は、見合い相手の母親に会いたくなり、嘘を重ねていきます。
相手の条件を確かめる沙織、自分の方法を信じて近づこうとする人、子どもの結婚を考える親。同じ相手探しでも、人物が替わるたびに見ているものが変わります。

汚れた手をそこで拭かない
著者:芦沢央
学校のプールの水を、誤って流してしまった小学校の先生。平穏に夏休みを終えたいのに、自分の失敗を抱えることになります。失敗を認めるか、隠し通すか。日々の仕事の中に、そんな選択が現れます。
映画監督が撮影を終えようとする頃に、主演俳優の薬物使用疑惑が浮上する話もあります。元恋人に成功した自分を見せたい料理研究家や、隣人が亡くなったと聞いて、妻が返し忘れた電気代の督促状を思い出す男性も登場します。
水を流してしまった先生には、自分の失敗を知られたくない気持ちがある。料理研究家は、昔の恋人を見返したい。何を守りたくて、何を人に見せたいのかが話ごとに変わる五編です。芦沢さんは、執筆時にお金を裏のテーマにしたと話しています。小さな損や得をめぐる判断も、人物が追い詰められるきっかけになっています。

儚い羊たちの祝宴
著者:米澤穂信
第1話「身内に不幸がありまして」は、村里夕日の手記から始まります。夕日は、自分の書いたものを誰かに知られることを恐れています。それが、大切な吹子お嬢様を危険にさらすかもしれないからです。
誰にも知られたくない告白が、いま読者の前にある。夕日は何を隠し、なぜ書き残そうとするのか。事情の分からない語りの始まりから、続きを追いたくなります。お嬢様たちの読書サークル「バベルの会」が関わる連作短編集です。読後にぞっとする小説をもっと探したいなら、イヤミス14選には湊かなえさんや秋吉理香子さんの作品もあります。

満願
著者:米澤穂信
動機や事件の見え方が、最後まで気になり続ける短編集です。表題作では、人を殺めた女性が控訴を取り下げたところから、なぜそうしたのかという疑問が始まります。
巻頭の「夜警」では、巡査部長の柳岡が、殉職した部下の川藤を振り返ります。刃物を持つ男を射殺し、自身も命を落とした川藤は、勇敢な警察官として語られます。しかし、一緒に働いていた柳岡には、その死に至る経緯が腑に落ちません。周囲が受け入れた美談と、上司が知る部下の姿との違いが、謎になります。
一話終わったところで少し考えてから次に進みたくなる本です。複数の謎を少しずつ楽しめます。
シャーロック・ホームズの冒険
著者:コナン・ドイル
「ボヘミア王のスキャンダル」「赤毛連盟」「まだらのひも」など、ホームズとワトソンの12事件を収めた音声版です。一つの事件が終わると、次は違う依頼人や謎がやってきます。探偵には馴染んだまま、事件ごとの驚きを楽しめるのが短編集のよさです。
例えば「赤毛連盟」では、小さな質屋の主人が、赤毛の人だけが採用される仕事に就きます。するのは百科事典の書き写し。それなのに、ある朝突然、仕事をくれた連盟が解散していました。なぜこんな仕事があり、急になくなったのか。ホームズは、その奇妙な事情を調べます。
吉開清人さんの朗読版は6巻に分かれ、各巻に2事件ずつ入っています。1巻には「ボヘミア王のスキャンダル」と「赤毛連盟」を収録しています。

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火曜クラブ
著者:アガサ・クリスティー
ミス・マープルの家に、甥のレイモンドや元警視総監、画家たちが集まります。各自が自分だけは真相を知っている昔の事件を話し、ほかの人が答えを考える。「火曜クラブ」は、そんな会話の趣向で進む短編集です。
現場に出かける探偵の後を追うのではなく、語られた事件を自分でも考えながら聴けます。一話聴いて休む日も、推理の会にまた参加するような気分で次の話を開ける一冊です。

作業や移動が終わるころに、一話も終えたいなら
1時間ほどの家事や移動なら、50分の『ダブル・クロス』を一作聴き終えられます。2倍速で聴き慣れている人なら、約25分です。片道30分ほどの移動なら、通常の速さで行きと帰りに分けることもできます。今日はまとまった時間が取れないという日にも、一作の長さから選べます。
長編も含めて次の謎を探したいときは、Audibleのおすすめミステリーでも作品を紹介しています。話を聴いていても頭に入ってこないときの工夫は、聴き方を変える記事にまとめています。
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