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オーディブルで聴く直木賞受賞作15作品|短めの一冊から『けんぐゎい』まで

オーディブルで直木賞受賞作を一冊選ぶなら、黒川博行さんの『破門』です。短めの一冊から始めたいなら『八月の御所グラウンド』、近年の受賞作なら『カフェーの帰り道』。犯罪小説を楽しみたいのか、短い時間で一冊聴き切りたいのか。それで選ぶ本が変わります。

この記事の目次
  1. 運営者が繰り返し聴いている一冊は『破門』
  2. 好みの題材と、聴ける時間から選ぶ
  3. 13作品の朗読者と、再生時間を短い順に比較
  4. 短めの一冊・短編集から始めたい人へ
  5. 人の生き方や、登場人物同士の関係から選ぶ
  6. 歴史や人物を長く追いたい人へ
  7. audiobook.jpの直木賞作品と、Audible版との違い
  8. 『けんぐゎい』|父を失った姉妹が、別々の奉公先へ進む
  9. 『サラバ!』|異国と日本で育つ歩と、姉との違い

初回対象者は30日無料。そのあとは通常月額1,500円で自動更新です。無料体験の条件と解約方法もあわせてどうぞ。

運営者が繰り返し聴いている一冊は『破門』

『破門』は20回以上聴いています。直木賞の受賞作から一冊、と言われたら、まずこれを挙げます。

ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮が、持ち逃げされた映画の出資金を追います。相手を追って関西からマカオへ行き、金の争いは組同士の問題にも広がっていく。回収に走る二人のやり取りも楽しめる、黒川博行さんの疫病神シリーズの一作です。小川輝晃さんが朗読しています。

好みの題材と、聴ける時間から選ぶ

京都の青春、上野のカフェー、戦国の石垣づくり。物語の場所や仕事から選ぶと、同じ賞の受賞作にも違う興味が見つかります。

今、聴きたいもの 最初に選ぶ作品 選ぶ理由
長すぎない一冊で耳から小説を試したい 八月の御所グラウンド 京都の駅伝と草野球を描く2編
近年の受賞作から女性たちの物語を選びたい カフェーの帰り道 約100年前の上野で、カフェーに勤める女性たちを描く
人間関係を描く短編集を聴きたい 夜に星を放つ 大切な関係を失った人たちと、新しいつながりを描く
日常に入り込む犯罪や不穏さを楽しみたい 鍵のない夢を見る 母親の盗みや近所の放火など、顔見知りの暮らしに犯罪が入り込む5編
職人や戦国時代の大きな物語に浸りたい 塞王の楯 石垣を築く技術と鉄砲をつくる技術がぶつかる

13作品の朗読者と、再生時間を短い順に比較

作品 著者 受賞回・対象期 朗読者 再生時間
八月の御所グラウンド 万城目学 第170回・2023年下半期 高坂篤志 5時間22分
ツミデミック 一穂ミチ 第171回・2024年上半期 馬場蘭子 7時間10分
夜に星を放つ 窪美澄 第167回・2022年上半期 羽飼まり 7時間16分
カフェーの帰り道 嶋津輝 第174回・2025年下半期 かわい凛香 7時間18分
鍵のない夢を見る 辻村深月 第147回・2012年上半期 野口花緒 7時間31分
空中ブランコ 奥田英朗 第131回・2004年上半期 山内璃久亜・大内櫻子 8時間50分
少年と犬 馳星周 第163回・2020年上半期 桑原敬一 8時間57分
ともぐい 河﨑秋子 第170回・2023年下半期 林和良 11時間15分
破門 黒川博行 第151回・2014年上半期 小川輝晃 11時間44分
利休にたずねよ 山本兼一 第140回・2008年下半期 菅沢公平 13時間31分
宝島 真藤順丈 第160回・2018年下半期 松本健太 18時間22分
塞王の楯 今村翔吾 第166回・2021年下半期 岩崎了 20時間9分
熱源 川越宗一 第162回・2019年下半期 逢笠恵祐 33時間35分(2版合計)

短めの一冊・短編集から始めたい人へ

『八月の御所グラウンド』|京都の草野球と駅伝を描く2編

早朝の京都御所のグラウンドで、草野球大会「たまひで杯」に出ることになった大学生。出場するのは、借金のカタでした。万城目学さんの表題作は、そんな気の進まない参加から始まります。

もう一編の「十二月の都大路上下ル」では、方向音痴の女子高校生が全国高校駅伝の代走を務めることに。グラウンドに立つ大学生と、街を走る高校生が、京都で不思議な出会いをする2編です。愉快なだけでは終わらない、少し切ない物語を、高坂篤志さんの朗読で聴けます。

『夜に星を放つ』|失った関係と、誰かと出会うことを描く

婚活アプリで出会った恋人との関係が進まない綾。収録作「真夜中のアボカド」では、綾がいまの恋愛に悩む日々に、双子の妹を失った寂しさも重なっています。

月に一度話す村瀬は、その妹の恋人だった男性です。同じ人を失った二人が話す時間を、綾は支えにしています。過去の大切な関係を抱えたまま、いま誰と何を話せるのか。窪美澄さんが描く人とのつながりを、羽飼まりさんの朗読で一編ずつたどる短編集です。

『鍵のない夢を見る』|知り合いのいる町にも、秘密がある

友達の母親が盗みを繰り返している。結婚を急かす土地柄にうんざりする女性の周りで、ボヤが続く。辻村深月さんが描く五つの物語では、遠い場所の事件ではなく、知っている人の暮らしの中へ犯罪が入り込んできます。

誰もが顔見知りの町で、他人からどう見られるかを気にしながら、望むものを得ようとする女性たち。その願いと危うい判断を、野口花緒さんの朗読で追えます。

『ツミデミック』|亡くなった同級生と同じ名の女性に出会う

夜の街で客引きをする優斗に、ある女性が話しかけてきます。名乗ったのは、中学時代に亡くなったはずの同級生の名前でした。「違う羽の鳥」は、働いていた青年が、説明のつかない出会いをするところから始まります。

別の話では、失業中の恭一が、息子の隼の持ち帰った旧一万円札を目にします。どこで手に入れたものなのか。一穂ミチさんが、暮らしに入ってきた出来事から、それぞれの人の事情を描く短編集です。朗読は馬場蘭子さん。

人の生き方や、登場人物同士の関係から選ぶ

『カフェーの帰り道』|上野の「西行」で働く女給たち

小説修業がうまくいかず、焦りを抱えるセイ。彼女が働く「カフェー西行」は、東京・上野にある、あまり繁盛していない店です。食事やお茶を楽しむ近所の客を迎える女給たちの暮らしを、大正から昭和にかけて描きます。

店には年上の新米女給・園子も加わります。同じ場所で働いていても、望むことや抱えている事情はそれぞれにある。嶋津輝さんが描く女性たちの出会いを、かわい凛香さんの朗読で聴けます。

『少年と犬』|仙台で暮らす和正が、多聞と出会う

2011年秋の仙台。コンビニで痩せた犬を拾った和正は、震災で職を失っています。認知症の母と、その介護をする姉の暮らしを支えるため、危うい仕事をしていました。

犬の名は多聞。和正は賢い多聞に惹かれますが、金のために引き受けるのは窃盗団の運転手の仕事です。一方、多聞はいつも南の方角へ顔を向けています。何を求めているのか分からない犬と、暮らしに悩む人たちとの出会いをたどる、馳星周さんの小説です。和正の一編から、ほかの人と多聞の物語へ。桑原敬一さんの朗読で聴けます。

『空中ブランコ』|医師の伊良部に、悩める患者がやってくる

跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗りに、尖端恐怖症のやくざ。困っている人たちが来るのは、伊良部総合病院の地下にある神経科です。診察する伊良部一郎も、患者に負けず劣らず風変わりな人物でした。

患者の悩みだけでなく、医師と患者がどんなやり取りをするのかが気になる、奥田英朗さんの一冊です。Audible版は山内璃久亜さん・大内櫻子さんが朗読しています。後の表では、つきねこ座によるaudiobook.jp版とも比べられます。

『ともぐい』|熊爪の山へ、冬眠を逃した熊が入る

熊に襲われた瀕死の男を助けた熊爪は、自分の山に「穴持たず」が入り込んだと知ります。冬眠を逃し、人の集落も襲ってきた熊です。

熊爪が暮らすのは、明治後期の北海道の山中。獲物を狩り、肉や毛皮を売りに町へ下りるほかは、一人で暮らしています。生活の場であり狩りの場でもある山へ入ってきた熊と、どう向き合うのか。河﨑秋子さんの小説を、林和良さんの朗読で聴けます。

歴史や人物を長く追いたい人へ

『塞王の楯』――石垣を築く側から戦国時代に入る

石工の匡介は、幼い頃、城が落ちたことで家族を失っています。今村翔吾さんの『塞王の楯』は、石垣を築いて守る技術と、鉄砲で攻める技術がぶつかる戦国小説です。岩崎了さんが朗読しています。

城を守れるかどうかが、人の生死を変える。武将の戦いだけでなく、それを支える職人が、何を作って戦に関わるかという側から読める一冊です。

『利休にたずねよ』――切腹の日から、美を求めた原点へさかのぼる

千利休が切腹する当日から、時間をさかのぼる歴史小説です。利休本人に加え、秀吉や妻の宗恩らにも視点が移ります。見る人によって異なる利休の姿を追いながら、彼が美を求めるようになった原点へ近づいていきます。

利休が身につけている緑釉の香合も、物語を通して気になる品です。山本兼一さんは、利休が命を懸けてまで守ろうとした美を、過去へたどりながら描きます。朗読は菅沢公平さん。

戦いを描く『塞王の楯』と、美意識と権力の関係を描く『利休にたずねよ』。同じ歴史小説でも、関心のある題材から選べます。

『宝島』――別々の道へ進む幼なじみを追う

1952年、アメリカ統治下の沖縄。米軍基地から物資を盗んで住民に配るオンちゃんが、米兵に見つかった夜に姿を消します。残されたのは、親友のグスク、弟のレイ、恋人のヤマコです。

グスクは警官に、ヤマコは教師に。レイは危険な道へ進んでいきます。オンちゃんの行方をめぐる謎と、三人が沖縄で生きていく20年を描く真藤順丈さんの長編です。松本健太さんが朗読しています。

『熱源』――樺太で出会う二人と、守りたい言葉の物語

川越宗一さんの第162回受賞作。故郷から移住を強いられたアイヌのヤヨマネクフと、流刑で樺太に送られたポーランド人のブロニスワフが出会います。自分の言葉や文化を奪われた二人が、何を守ろうとするのか。歴史の中を生きた人の立場から物語を追いたい人に。

逢笠恵祐さんが朗読する音声版は、トラック1〜12が日本語版、13〜24が現地語版です。書籍で日本語とアイヌ語などが併記されている部分を、それぞれの言語で読んだ二つの版が入っています。日本語で通して聴くなら、まずトラック1〜12へ。付属PDFもあります。

audiobook.jpの直木賞作品と、Audible版との違い

オーディオブックを選ぶなら、Audibleだけでなくaudiobook.jpも候補になります。同じ原作でも、朗読者や演出、再生時間が同じとは限りません。

作品・サービス 声の担当 再生時間 利用条件
空中ブランコ/Audible 山内璃久亜・大内櫻子 8時間50分 プレミアム聴き放題対象
空中ブランコ/audiobook.jp つきねこ座 07:45:20 聴き放題対象
恋歌/audiobook.jp 吉田聖子、塩谷綾子ほか(計15名) 10:41:18 聴き放題対象
流/audiobook.jp 中川慶一、森功至ほか(計24名) 13:11:51 聴き放題対象

『恋歌』は第150回、『流』は第153回の直木賞受賞作です。

『空中ブランコ』は両社とも聴き放題対象。使っているほうのサービスで聴き始めて、別の声でも聴きたくなったら、もう一方の版を試せます。

複数の作品を選びたい人は、Audibleとaudiobook.jpの比較でプランも比べられます。

『けんぐゎい』|父を失った姉妹が、別々の奉公先へ進む

朝倉かすみさんの第175回直木賞受賞作です。姉のふゆと妹のりよは、幼い頃に父を亡くし、それぞれに働きに出ます。利発なふゆは手習師匠の手伝いへ、りよは船宿の下女奉公へ。同じ家で生まれた二人が、違う場所で生き始める時代小説です。

音声版は寺田早輪子さんの朗読で12時間20分。姉妹の働く先から、当時の女性が置かれた立場へ目を向けて聴けます。

『サラバ!』|異国と日本で育つ歩と、姉との違い

父の赴任先のイランで生まれた圷歩は、革命のために家族で日本へ戻り、大阪で暮らし始めます。幼稚園や小学校になじんでいく歩に対して、姉は周囲から孤立していきます。同じ家族の中でも、弟と姉の居場所は違っていました。

やがて父の仕事でエジプトへ移り、日本人学校に通い始めた歩は、現地の少年ヤコブと出会います。住む国が替わり、家族の外にも関係が広がっていく、西加奈子さんの第152回直木賞受賞作です。音声版の『サラバ! 上』は、松坂桃李さんが朗読しています。

別の文学賞から題材を探すなら、Audibleで聴く芥川賞で整理しています。