Audibleで芥川賞受賞作を聴くなら、まずこの三冊。職場の人付き合いから入れる『バリ山行』、名言の出どころを追う『ゲーテはすべてを言った』、2時間以内で聴ける『ハンチバック』。どれもプレミアムプランの聴き放題対象です。
この記事の目次
この記事では、2026年9月12日にAudibleの公式特集で配信中かつ聴き放題対象だと確認できた12作品を紹介します。受賞回は日本文学振興会の記録に合わせて、朗読者と時間はそれぞれの音声版で比べました。
Audibleの芥川賞作品を30日間無料で試す初回対象者は30日無料、そのあとは通常月額1,500円で自動更新です。ここで紹介する聴き放題はプレミアムプランのもの。スタンダードでも全タイトルから選べますが、聴き方や保持条件が違うので、Audibleの料金とプランの違いを見てください。
芥川賞の12作品を、朗読者と再生時間で比較
表は通常速度で短い順です。受賞した原作と、ここでリンクしている音声版を対応させています。聴き放題対象は2026年9月12日時点の表示。
← 表は横にスクロールできます →
| 作品・著者 | 受賞回・対象期 | 朗読者 | 音声版の再生時間 |
|---|---|---|---|
| ハンチバック/市川沙央 | 第169回・2023年上半期 | くわばらあきら | 1時間50分 |
| 叫び/畠山丑雄 | 第174回・2025年下半期 | 石狩勇気 | 3時間20分 |
| この世の喜びよ(小説集)/井戸川射子 | 第168回・2022年下半期 | 志摩淳・林祐人 | 3時間27分 |
| 推し、燃ゆ/宇佐見りん | 第164回・2020年下半期 | 玉城ティナ | 3時間34分 |
| おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子 | 第167回・2022年上半期 | 椎名ライカ | 4時間11分 |
| 東京都同情塔/九段理江 | 第170回・2023年下半期 | 白妙あゆみ | 4時間19分 |
| サンショウウオの四十九日/朝比奈秋 | 第171回・2024年上半期 | 疋田涼子 | 4時間37分 |
| DTOPIA (デートピア)/安堂ホセ | 第172回・2024年下半期 | 青柳いづみ | 4時間44分 |
| ブラックボックス/砂川文次 | 第166回・2021年下半期 | 向山太規 | 5時間27分 |
| バリ山行/松永K三蔵 | 第171回・2024年上半期 | 石狩勇気 | 5時間32分 |
| 貝に続く場所にて/石沢麻依 | 第165回・2021年上半期 | ささきのぞみ | 6時間16分 |
| ゲーテはすべてを言った/鈴木結生 | 第172回・2024年下半期 | 吉開清人 | 6時間45分 |
出典:日本文学振興会・芥川賞受賞作一覧、Audibleの芥川賞・直木賞特集。表の12版はすべて完全版・プレミアムプラン聴き放題対象の表示です。
『この世の喜びよ』の3時間27分は、受賞した表題作に「マイホーム」「キャンプ」を加えた小説集全体の時間です。受賞作一編だけの長さではないので、そこは分けて。
私が推したいのは『推し、燃ゆ』。好きなものに支えられる感覚から入る
宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』は、第164回芥川賞の受賞作です。玉城ティナさんが朗読する3時間34分の日本語音声版が、プレミアムの聴き放題対象になっています。主人公のあかりが支えにしている「推し」の炎上をきっかけに、彼女の生活や世界との関わりをたどります。音声版
『推し、燃ゆ』は、芸能人の炎上だけに目を向けず、主人公のあかりが日々をどう支えているかにも耳を傾けたい作品です。何に力を使い、何を頼りに暮らしているのかを追うと、出来事の大きさだけでは捉えられない部分が見えてきます。推しがいる人だけの話と決めつけず、一人を支えるものの話として勧めたい一冊です。応援する相手の出来事と、それを受け止める日常を行き来しながら、あかりにとっての「推し」の重みを考えてみてください。
短めの受賞作から選びたいけれど、明るい青春小説を期待しているわけではない人に。3時間34分なら1日30分で8回ほど。人物の行動にすぐ答えを出さず、少しずつ聴くのに向いた長さです。
最初の一冊は、時間よりも「何の話か」で絞る
職場の人付き合い、名言の出どころ、身体と生活。最初の三冊がそれぞれ何を描く小説なのか、題材から紹介します。
職場の人付き合いから入りたいなら『バリ山行』
バリ山行|石狩勇気|5時間32分|プレミアム聴き放題対象
会社の付き合いを避けてきた波多が、同僚に誘われて六甲山の登山に参加する話です。仕事とは別の場所に出かけても、一緒にいるのは会社の人。その関係に興味を持てるなら、ここから入るのがおすすめです。
休日の集まりに誘われて、同僚とどこまで付き合うか迷う人にも身近な小説。1日30分なら12日で一周できます。
言葉の謎を追いたいなら『ゲーテはすべてを言った』
ゲーテはすべてを言った|吉開清人|6時間45分|プレミアム聴き放題対象
ゲーテ研究者が、食事の席で見つけたティーバッグの言葉に引っかかるところから始まります。専門家なのに知らない名言。その出典を求めるうちに、研究生活の記憶にも話が広がっていく。
「この言葉は本当にあの人が言ったのか」という疑問を追う小説です。SNSで見かけた名言の出どころが気になる人や、調べ物から別の記憶がつながっていく感覚が好きな人に。
『ハンチバック』|身体と生活を描く1時間50分の小説
ハンチバック|くわばらあきら|1時間50分|プレミアム聴き放題対象
主人公の井沢釈華は、両親が残したグループホームで生活して、部屋から言葉を発信しています。身体と生活の条件が、その人の表現と切り離せない形で描かれる小説です。
人の身体や生き方について考える一冊を、2時間以内で聴きたい人に。
現実と少し違う世界を、声から組み立てる3作品
『東京都同情塔』は、現実の東京と違う設定を押さえる

東京都同情塔|白妙あゆみ|4時間19分|プレミアム聴き放題対象
舞台は、ザハ・ハディドの国立競技場が完成した、もう一つの日本。そこに新しい刑務所を建設する計画が持ち上がります。
『東京都同情塔』を聴き始めた夜、ザハ・ハディドの国立競技場が出てきて、いまの東京のどの辺りの話なのかと地図を開きました。場所を探すことに気を取られて建物の説明を聞き逃して、再生を止めるはめに。そこで作品紹介を読み、現実とは違う日本が舞台だと押さえてから、地図を閉じて聴き直しました。実際の街に当てはめるのをやめたら、声から自分なりの都市を想像して聴けるようになりました。
現実と似ているのに違う都市で、建築や人を指す言葉がどう扱われるのか。そこに興味があれば、この4時間19分を選んでみてください。
『DTOPIA(デートピア)』は、恋愛リアリティショーを舞台にした小説
DTOPIA (デートピア)|青柳いづみ|4時間44分|プレミアム聴き放題対象
舞台はボラ・ボラ島の恋愛リアリティショー。ミスユニバースをめぐって10人の男性が競います。普通の恋愛小説を探している人より、番組の中で人がどう見られ、どう選ばれるかという設定が気になる人に。
登場人物を最初から全員覚えようとせず、誰が誰を求めている場面なのかを追うと、話の焦点がつかみやすくなります。ネタバレを避けたい人は、詳しい評判より先に公式の試聴で声と文章の調子を確かめる手もあります。
『サンショウウオの四十九日』は、自分と隣の人の境界を問う

サンショウウオの四十九日|疋田涼子|4時間37分|プレミアム聴き放題対象
主人公は、一つの身体を共有する結合双生児の姉妹、杏と瞬です。身体がつながっていて相手の考えが分かっても、人格はそれぞれにある。「自分」はどこからどこまでなのか、二人を通して考える小説です。姉妹の設定は出版社の紹介と著者対談でも説明されています。
土地・記憶・日常の引っかかりから選ぶ5作品
『叫び』|人をきっかけに、土地の歴史へ関心が広がる
叫び|石狩勇気|3時間20分|プレミアム聴き放題対象
早野ひかるが「先生」に出会い、銅鐸や土地の来歴を学び始めます。人への関心が、自分のいる場所や過去へ伸びていく話に興味があれば。
第174回(2025年下半期)の芥川賞受賞作です。
『この世の喜びよ』|記憶にまつわる小説集を選ぶ
この世の喜びよ|志摩淳・林祐人|3時間27分|プレミアム聴き放題対象
娘たちと過ごしたことのあるショッピングセンターで、いまは喪服売り場に勤める人物が、フードコートに通う少女と出会います。同じ場所が、昔と今とで違って感じられる話に関心がある人に。
この音声版には、住宅への体験宿泊を描く「マイホーム」、叔父とキャンプに行く少年の話「キャンプ」も入っています。三つの物語を、一編ずつ区切って聴けます。
『おいしいごはんが食べられますように』|食事と人間関係の話
おいしいごはんが食べられますように|椎名ライカ|4時間11分|プレミアム聴き放題対象
料理の上手な芦川、仕事を頑張る押尾、職場でうまく立ち回る二谷。食べることが、この三人の関係と結びついています。食事の場にも現れる好意や不公平感、職場で誰が支えられ、誰が頑張る側になるのか。そういう関係が気になる人に勧めたい4時間11分です。
『ブラックボックス』|怒りを持て余す人物を追う
ブラックボックス|向山太規|5時間27分|プレミアム聴き放題対象
自衛隊を辞めて、自転車メッセンジャーとして働くサクマが主人公です。都会を走る仕事の風景と、自分の中の怒りを持て余す感覚を追う小説。
現状を変えたいのに、うまく動けないサクマ。その怒りや街との関わりを追いたい人に。
『貝に続く場所にて』|異国の街と、震災の記憶が重なる
貝に続く場所にて|ささきのぞみ|6時間16分|プレミアム聴き放題対象
ドイツの学術都市で暮らす語り手の前に、震災で行方不明になった友人が現れます。コロナ禍の異国の街と、9年前の記憶が重なっていく物語です。
いまいる場所を歩きながら、別の時代や場所が思い出される小説が好きな人に。風景を思い浮かべながら、震災と喪失の記憶に触れる一冊です。
同じ回の受賞作を、違う題材で聴き比べる
第172回は『DTOPIA(デートピア)』と『ゲーテはすべてを言った』の2作品が選ばれました。恋愛番組で選ばれる人を描く話と、名言の出典を追う研究者の話。同じ賞で評価されても、関心の入口はまるで違います。二つ合わせた再生時間は11時間29分。
第171回の『サンショウウオの四十九日』と『バリ山行』も同時受賞です。身体を共有する二人の意識を考える話から、会社の同僚との距離感を考える話へ。同じ回を手掛かりにすると、普段は選ばない題材が次の一冊になります。
選んだ一冊を、何日で聴くか見積もる
日数は通常速度で一回通して聴く場合の目安です。聴き戻しや休む日は入れていません。
← 表は横にスクロールできます →
| 使える時間 | 候補 | 進め方の目安 |
|---|---|---|
| 休日に2時間取れる | ハンチバック | 再生時間は1時間50分。2時間枠なら残り10分 |
| 一日30分を一週間 | 叫び | 3時間20分。7日分の計210分で一周できる |
| 一日30分を二週間 | ゲーテはすべてを言った | 6時間45分。14日分の計420分で一周できる |
歴史小説や短編集から選びたい人は直木賞の音声版、書店員が選んだ作品を探す人は本屋大賞の音声版へ。賞を問わず探すならAudibleの小説おすすめにまとめています。












