本を聴く.com

86―エイティシックス―のオーディブル|シンとレーナの物語と、青木紫水の朗読

商品リンクには広告(Amazonアソシエイト)を含みます。

『86―エイティシックス―』は、無人機による戦争とされながら、実際には少年少女が戦場に送られている世界を描く小説です。前線で部隊を率いるシンと、離れた後方から指揮するレーナが、通信を通して関わっていきます。戦う人と指揮する人、それぞれの言葉や気持ちまで読みたい人には、青木紫水さんが読むオーディブル版がおすすめです。

この記事の目次
  1. 86―エイティシックス―はどんな物語?
  2. 戦場のシンと後方のレーナでは、同じ戦争でも見えているものが違う
  3. Audible版の青木紫水さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?
  4. Audible版86の第1巻と続巻
  5. 今回紹介した作品はこちら
  6. この作品が好きなら、こちらも

86―エイティシックス―はどんな物語?

86―エイティシックス― 第1巻の表紙
『86―エイティシックス― 第1巻』をオーディブルで聴く

アニメでご存じの方も多いと思いますが、レーナはサンマグノリア共和国の軍人で、少佐として部隊を指揮する少女です。国の戦争のあり方に異を唱え、前線の少年少女に寄り添おうとしています。

共和国を攻めてくるのは、隣国の無人兵器「レギオン」です。共和国も無人機で戦っているとしていますが、その機械を操縦するのは、人として扱われない「エイティシックス」の少年少女たち。国が犠牲者を出していないとする戦争の裏で、彼らは前線へ送られています。

レーナが新しく指揮を任されるのは、精鋭部隊のスピアヘッド戦隊です。前線でその少年少女たちを率いるのがシン。レーナは遠く離れた後方にいて、特殊な通信を通じて部隊とつながります。戦いの中にいるシンと、彼らに指示を出すレーナが、言葉を交わしながら関わっていく物語です。

作者は安里アサトさん。第1作は、第23回電撃小説大賞の大賞を受賞しています。

戦場のシンと後方のレーナでは、同じ戦争でも見えているものが違う

アニメは見たことがあっても、原作を読むのは初めてという人も多いはずです。シンたちは戦場にいて、レーナはその場にいないまま指示を出します。レーナが何を伝えようとするのか、その言葉をシンたちはどう聞くのか。二人のやり取りを追うと、戦闘の行方とともに、互いの立場の違いが気になってきます。

国の説明では犠牲者はいないのに、読者の前には、名前を持ち、言葉を話す少年少女たちがいる。その隔たりが、物語の重さです。機械同士の戦闘の迫力に加え、その中で生きる人の気持ちを追いたい人に向いています。

レーナは少年少女の扱いに反対していますが、彼女自身も共和国の軍人です。相手を人として大切にしたい気持ちと、その相手に遠くから戦闘の指示を出す立場が重なっています。前線の人に近づこうとするレーナの思いが、どんな言葉になって届くのかも読みどころです。

機械の名前には覚えにくさを感じながらも、物語そのものは面白かったという人もいます。

「第86区」の意味と、シリーズの世界観

題名の「86」は、少年少女たちの置かれた場所と、その呼び名につながっています。サンマグノリア共和国には85の区画があります。その外側にあるのが、国からは存在しないものとされる「第86区」です。そこで戦う少年少女たちは、エイティシックスと呼ばれています。

作中の「ハンドラー」は、レーナが務める指揮管制官のことです。

ユウ

「『86』、アニメは見たんだけど、小説も気になってる」

ミナ

「続きが知りたい?」

ユウ

「知りたい。でも、好きになった人がどうなるか、心配で先に調べたくなる」

ミナ

「それ、先の話を読んじゃうでしょ」

ユウ

「そこは知りたくない。『大丈夫そう』くらいだけ欲しい」

ミナ

「ずいぶん難しい注文だね」

ユウ

「しかも今、ちょっと考えたよね。その顔も気になる」

ミナ

「何も言ってないのに」

ユウ

「ため息も、先の展開を知ってるからかなって」

ミナ

「じゃあ、無表情で隣にいればいい?」

ユウ

「それはそれで怖い」

ミナ

「まず私の顔から、先の展開を探すのをやめよう」

Audible版の青木紫水さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?

青木紫水(あおきしすい)さんは、海外作品の吹き替えやナレーション、オーディオブックなどで活動する声優です。『86』では、登場人物の台詞も、出来事や人物の気持ちを描く文章も青木さんが読みます。

青木さんは『エミリーのワンダーラボ』で、メイソンのボイスオーバーを担当しています。

抑えた語りと柔らかな声で、戦場と人物の気持ちを感じる

男女の声を聞き分けやすく、間を取った落ち着いた朗読を楽しめた一方、続巻の話の進み方は遅く感じたという人がいます。

第1巻では、控えめな語りに戦場の緊張を、声の強弱にシンやレーナの気持ちを感じたという人もいます。

物語の中でレーナは、離れた場所からシンたちへ言葉を届けます。朗読では、そのレーナの台詞だけでなく、返事をする兵士や、彼らの気持ちを描く文章まで、同じ読み手の声でつながります。戦闘の結果を急いで知るより、誰の言葉に誰がどう応じるかを聴きたい人に向いています。

アニメで覚えた声と、青木さんの演じ方

好きな場面を朗読で聴いて楽しめた一方、人物の演じ方がアニメに近いことは気になったという人がいます。

アニメの配役への愛着はありつつ、青木さんが人物の気持ちを声で表すところも楽しめたという人もいます。

アニメで覚えた声が頭に残っている人や、抑えた語りの調子が気になる人には、第1巻のプレビューを聴くのがおすすめです。

ユウ

「静かな台詞って、逆に耳を澄ましたくなるんだよね」

ミナ

「大きな声より気になること、あるね」

ユウ

「ミナが小さい声で『ちょっと』って呼ぶときとか」

ミナ

「それは何かしたときでしょ」

ユウ

「普通に呼ばれるより、頭の中で心当たりを探しちゃう」

ミナ

「そんなにあるの?」

ユウ

「まず、最後に会った日から順番に……」

ミナ

「『86』の話をしてたのに、自分の反省を始めた」

ユウ

「声の調子だけで、気持ちが動く例だよ」

ミナ

「じゃあ、私が何を言うかも聞いてから反省して」

Audible版86の第1巻と続巻

『86―エイティシックス―』第1巻の再生時間は8時間57分です。紙で手に取りたい方は、文庫の『86―エイティシックス―』もあります。

続巻には、第2巻『Ep.2(エピソード2) ラン・スルー・ザ・バトルフロント〈上〉』と、第3巻『Ep.3(エピソード3) ラン・スルー・ザ・バトルフロント〈下〉』があります。この上・下は、第1巻を分けたものではなく、第2巻と第3巻の副題です。本編のほかに、番外編のオーディオブックもあります。

ユウ

「じゃあ、『86』を聴いたらミナと話したい」

ミナ

「先の話はしない約束だったよね」

ユウ

「俺が気になった二人の言葉だけ。先のことは聞かない」

ミナ

「そのときは、普通の顔で聞いてていい?」

ユウ

「うん。笑っても、ため息ついても大丈夫」

ミナ

「やっと顔の許可が出た」

ユウ

「ただ、小さい声で『ちょっと』はやめて」

ミナ

「それは、今度ユウが何をするかによる」

今回紹介した作品はこちら

この作品が好きなら、こちらも

厳しい状況にいる人物を応援したくなるなら、『ヘイル・メアリー』もおすすめ

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、目を覚ますと宇宙船の中にいて、なぜそこにいるのかも思い出せない男の物語です。主人公は少しずつ記憶を取り戻しながら、科学で難題に挑みます。厳しい状況で何を考え、どう行動するのかが気になり、登場人物を応援したくなる人におすすめです。