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土佐で育つ泣き虫の少年が、剣術に出会い、江戸へと世界を広げていく『竜馬がゆく(一)』。司馬遼太郎さんの小説は、坂本竜馬を少年期から描き、同じ時代を生きる若者たちとの出会いを重ねていきます。竜馬の強さや人とのやりとりを声でも楽しみたい方には、小林親弘さんが朗読するオーディブル版がおすすめです。
この記事の目次
『竜馬がゆく(一)』はどんな物語?

『竜馬がゆく』は、土佐の郷士の次男として生まれた坂本竜馬と、幕末を生きた若者たちを描く歴史小説です。1968年には北大路欣也さん主演の大河ドラマにもなりました。ドラマや竜馬の名前は知っていても、小説は初めてという方は、この第1巻で幼い頃の竜馬から出会えます。
少年の竜馬に変化が訪れるのは、14歳で小栗流の道場へ通い始めてからです。それまでは近所の子にからかわれて泣いて帰り、寺子屋でも字を十分に覚えられなかった少年。剣術を学ぶようになると、顔つきまで変わっていきます。
物語では、生まれた子の背中のつむじを見た父が、立派な馬のようになるかもしれないと期待して竜馬と名付けています。第1巻では、この少年時代から江戸での剣術修業へと進み、まだ奥手な青年の姿も描かれます。
竜馬が知り合う若者の中には、以蔵や桂小五郎もいます。土佐での暮らしを起点に、剣術を学び、新しい人と知り合っていく。第1巻では、幕末の大きな動きへつながる長編の始まりを、一人の若者の成長から読めます。
泣き虫の少年が、剣術に出会って変わっていく
竜馬という名前から、堂々としていて、何をするにも迷わない人物を思い浮かべる人もいるでしょう。この第1巻では、強くなっていく竜馬を、幼い頃の姿を知ったうえで見られます。剣の腕を身につける姿にも、泣き虫だった少年の面影が重なる。後の活躍を知っている人にも、その人が育っていく時間を追う楽しみがあります。
また、第1巻には奥手な青年の顔もあります。剣の腕前と、若者らしい不慣れな姿を一緒に読めるので、竜馬が誰と出会い、どんなやりとりをするのかにも興味が向きます。剣術の強さに惹かれる人にも、人柄を知りながら主人公を好きになりたい人にも、入りやすい始まりです。

「坂本竜馬って名乗ったら、周りがしんとなりそうだよな」

「名乗る前から、ずいぶん立派な登場を想像してるね」

「俺も試してみる。まず背筋を伸ばして、少しためてから……」

「……ユウ?」

「うん?」

「あ、名前を呼べば返事はするんだ」

「違う。いま堂々と名乗る前の“間”を取ってた」

「私が先に名前を言っちゃったね」

「これ、俺を知ってる相手だと成立しないな。名前の後に話すことも、何も考えてなかった」

「登場するところに全部使っちゃったんだ」

「竜馬の名前は知ってるけど、江戸で出会う人に何を話すのか、そっちが気になるな。少年時代から知れるなら、余計に」

「それは気になるけど、ユウの自己紹介はまだ終わってないよ」

「ユウです。今度はためずに言いました」

「うん、さっき呼んだ人だね」
Audible版の小林親弘さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?
小林親弘(こばやし ちかひろ)さんは、アニメ『ゴールデンカムイ』で杉元佐一を演じる声優です。舞台やドラマでも活動し、海外作品の吹き替えにも出演しています。本作では、若い竜馬と、その周囲の人々を演じています。
幕末の文化や用語には戸惑いながらも、朗読から竜馬の気さくさを感じて惹かれたという人がいます。
会話と方言を、どのように声にしたのか
小林さんは、会話のやりとりを丁寧に表現し、方言指導の役者とともに当時の言葉を掘り下げながら読んだと話しています。

「さっきはためている間に名前を言われたから、今度はスマホに自己紹介を録ってみた」

「録音なら、私に邪魔されないね」

「声は少し低くして、落ち着いた感じにするつもりで録った。再生するよ」

「……咳払いが続いてる。まだ名乗らない。会ったら、最初に気を遣いそうな人だな」

「声だけでどんな人か伝わるって、難しいな。録り直そう。せめて名前くらい、普通に言う」

「あ、録音が終わった」

「名前、入ってなかった?」

「うん。咳払いだけで、ずいぶん厳しそうな人には会えた」
原作やドラマで思い描いた竜馬の声がある方、土佐の言葉の響きが気になる方には、最初に『竜馬がゆく(一)』のプレビューを聴くのがおすすめです。
Audible版『竜馬がゆく』は現在3巻
小説の文庫は全8巻ですが、2026年10月現在、オーディブルで配信されているのは(一)〜(三)の3巻です。3巻とも小林親弘さんが朗読し、プレミアムプランの聴き放題の対象です。
本で読みたい方へ
紙で手に取りたい方には、新装版『竜馬がゆく(1)』の文庫もあります。
Audibleを初めて使う人は、Audibleの登録ページから始められます。無料体験の条件や登録の流れは、Audibleの無料体験で紹介しています。
今回紹介した作品はこちら
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時代の変化を若者たちの姿から読みたい方には、『坂の上の雲』もおすすめ
『坂の上の雲』は、明治を生きる秋山好古・真之兄弟と俳人の正岡子規を中心に、近代日本が形作られていく時代を描く、司馬遼太郎さんの長編小説です。3人がそれぞれの道で、自分の役割に向き合っていきます。
若者たちの行動を通して時代の変化を追うところに、『竜馬がゆく』と近い面白さがあります。幕末の竜馬から、明治を生きる人々へ関心が広がった方におすすめです。朗読は、アニメ『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役でも知られる森川智之さんです。
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