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火定のオーディブル|天平の都で病に向き合う人々と、辻井健吾の朗読

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施薬院で働く若い官人・蜂田名代は、仕事に嫌気が差しています。そこへ不思議な病が相次ぎ、都の暮らしが揺らぎ始めます。澤田瞳子さんの『火定』(かじょう)は、天平の平城京を舞台にした歴史小説です。危機に置かれた人の気持ちや行動を追いたい人には、辻井健吾さんが朗読するオーディブル版がおすすめです。

この記事の目次
  1. 火定はどんな物語?
  2. 立場の違う人々の思いが重なる面白さ
  3. Audible版の辻井健吾さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?
  4. 『火定』の再生時間と文庫版
  5. 今回紹介した作品はこちら
  6. この作品が好きなら、こちらも

火定はどんな物語?

火定の表紙
『火定』をオーディブルで聴く

舞台は天平の平城京。施薬院は、藤原房前らが設けた、病人を治療する場所です。名代はここで官人として働いていますが、仕事に嫌気が差し、早く離れたいと思っています。

施薬院では、高い熱が数日続いてから急に下がる、不思議な病が相次ぎます。医師の綱手はその様子を不審に思いますが、名代はまだ気に留めません。

院の外では、名代は同僚に連れられて、新羅から届いた品を扱う市へ出かけます。そこで会うのが、房前に仕える家令・猪名部諸男です。勤め先を設けた人に仕える相手なのに、諸男は施薬院を悪く言い、医師への憎しみまで隠しません。名代も仕事には不満があるものの、その言葉には反感を持ちます。

ところが諸男は、高熱で倒れた使節の男を世話するために連れ帰ります。医師を悪く言う人が、病人を放っておかずに面倒を見る。その行動に、名代は興味も抱きます。嫌な感じのする相手だと受け止めたあとで、その人の別の一面が気になる。名代と一緒に、諸男がどんな人なのかを知りたくなる出会いです。

ユウ

「名代、仕事に嫌気が差してるところから始まるんだね」

ミナ

「仕事が嫌なところへ、病気が広がるんだよね。そこでどうするのかが気になる」

ユウ

「俺、この前、友人の引越しを手伝うって言ったときは、ずいぶん立派な返事をした」

ミナ

「どんな?」

ユウ

「『困ったときはお互いさま。何でも頼んでくれ』って」

ミナ

「前に机を運んでもらった人?」

ユウ

「そう。あのお礼もしたかったんだ」

ミナ

「じゃあ、今度はユウが運ぶ番だ」

ユウ

「日程も決まった。今度の日曜に手伝ってくる」

ミナ

「それなら、私の本棚もお願いしようかな」

ユウ

「引越しの話、もう広まった?」

ミナ

「『何でも頼んでくれ』って、今、目の前で聞いたよ」

立場の違う人々の思いが重なる面白さ

同じ病を前にしても、医師の綱手は熱の出方を怪しみ、名代はまだ気に留めません。施薬院を悪く言う諸男は、倒れた使節を連れ帰って世話をします。立場の違う人たちが、それぞれの理由で病と関わっていく物語です。

資料の少ない施薬院を、どう描いたのか

本作では、残る資料の少ない施薬院で働く人々の姿を、作者の想像を交えて描いています。

作者が最初に設定の決まった人物として挙げているのは、施薬院で働く町医者の綱手です。歴史上の大きな出来事を出発点にして、一人ひとりの人間を描く形になったと話しています。当時の制度を説明するだけでは埋まらない部分を、人の仕事や気持ちとして描いているのが、この小説のつくりです。

展開への驚きより、人物の描写を楽しんだ人も

展開には意外性が乏しく、感動もしなかったものの、人物を描く文章は面白く感じたという人もいます。

Audible版の辻井健吾さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?

辻井健吾さんは、アニメ『僕のヒーローアカデミア』の多部空満役を演じる声優です。

物語と朗読は好きでも、亡くなっていく人々を描く場面はつらかったという人がいます。

亡くなっていく人々を描く場面がつらい人には、重い作品です。

辻井さんの声や読み方が気になる人には、最初に『火定』のプレビューを聴くのがおすすめです。

ミナ

「仕事が嫌になってる名代が、どう返事をする人なのかも気になるね」

ユウ

「立派なことを言うのか、嫌だって言うのか。声で聞いたら、どう感じるんだろう」

ミナ

「どんな言葉でも、そのあとどう動くかは見たいな」

ユウ

「さっきの俺の返事も、そこまで見られてる?」

ミナ

「本棚の話なら、予定を決めたいと思ってる」

ユウ

「ああ、うん。持てる範囲でなら、もちろん」

ミナ

「急に声が小さくなったね」

ユウ

「本棚って、どれくらい大きいのかなと思って」

ミナ

「下見に来る?」

ユウ

「行く。手伝いたいけど、前の机より大きかったら、俺一人じゃ持てないかもしれないし」

ミナ

「それを最初から言ってくれれば、頼みやすいのに」

ユウ

「分かった。俺の『何でも』には、下見が必要です」

『火定』の再生時間と文庫版

オーディブルの日本語版は、辻井健吾さんの朗読で12時間8分です。2026年10月現在、プレミアムプランの聴き放題対象になっています。

紙で手に取りたい方には、文庫版の『火定』がおすすめです。文庫版には、安部龍太郎さんの解説が付いています。

Audibleを初めて使う人は、Audibleの登録ページから始められます。無料体験の条件や登録の流れは、Audibleの無料体験で紹介しています。

今回紹介した作品はこちら

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