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じんかんのオーディブル|信長が語る松永久秀の半生と、堂島颯人の朗読

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戦国武将の松永久秀が、織田信長に2度目の謀反を起こす。ところが、その知らせを受けた信長は笑みを浮かべ、久秀の半生を語り始めます。今村翔吾さんの『じんかん』は、悪人としての印象とは違う久秀の姿に触れられる歴史小説です。

この記事の目次
  1. 『じんかん』はどんな物語?
  2. 悪人という一言では収まらない、松永久秀の人物像
  3. 信長の語りと、人と人とのつながりを楽しむ
  4. Audible版の堂島颯人さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?
  5. 『じんかん』のオーディブルは15時間21分、文庫も選べる
  6. 今回紹介した作品はこちら
  7. この作品が好きなら、こちらも

武将の勝ち負けだけでなく、人を信じることや人とのつながりに心が動く物語を選びたい方におすすめです。オーディブルでは、声優の堂島颯人さんによる朗読で楽しめます。

『じんかん』はどんな物語?

じんかんの表紙
『じんかん』をオーディブルで聴く

信長が久秀の昔話を聞かせる相手は、小姓の狩野又九郎です。主人公となる久秀と、その人生を語る信長。又九郎とともに話を聞く形で、読者は久秀の過去へ向かいます。

その昔話では、幼い久秀と、荒れた世を子どもたちだけで生きる浮浪児の一団が描かれます。武将として知られるより前の暮らしから、久秀の半生をたどっていきます。

その語りが始まる1577年、久秀は信長に2度目の謀反を起こしています。知らせを伝えた又九郎は怒りを恐れていますが、信長は笑みを浮かべ、降伏すれば許すと言う。そのうえで、かつて久秀本人から聞いた話を又九郎に聞かせ始めるのです。

久秀はどんな男なのか、信長は彼の何を知っているのか。又九郎の予想と違う信長の振る舞いから、久秀の評判を決める前に、その過去を聞いてみたくなります。

ユウ

「俺、この小姓の役だったら、部屋に入る前に深呼吸を繰り返しそう」

ミナ

「知らせるだけなのに、もう怒られるつもりでいる」

ユウ

「いきなり謀反の話は怖いでしょ。『今日はいい天気ですね』って始めたらどうかな」

ミナ

「その後の話で、天気なんて忘れると思うよ」

ユウ

「じゃあ、最初だけミナに入ってもらって」

ミナ

「天気の話をする係?」

ユウ

「できれば、その後も」

ミナ

「私は部屋の外で待ってていい?」

ユウ

「それ、俺がやりたかった役」

ミナ

「伝える人がいなくなっちゃったね」

悪人という一言では収まらない、松永久秀の人物像

久秀には、主家の乗っ取り、将軍暗殺、東大寺大仏殿の焼き討ちといった悪名があります。本作では、そうした評判に収まらない、他人を思いやる若い久秀が描かれます。

その周囲には、貧困や不正、暴力があります。人々を大切に思う青年が、なぜこれほどの悪名を負うのか。久秀の名前に詳しくなくても、この理想と悪名の隔たりから興味を持てる物語です。

悪人として知られる久秀を、心の優しい人物として描いたところを楽しんだ人がいます。

作者の今村翔吾さんは、悪人の印象が強い久秀を、1人の人間として描こうとしています。

コラム|『塞王の楯』を読んだ方にも

『じんかん』は、2020年の第11回山田風太郎賞を受賞し、第163回直木賞の候補にもなった作品です。今村翔吾さんが直木賞を受賞したのは、2022年の『塞王の楯』でした。『塞王の楯』から今村さんの歴史小説に興味を持った方には、『じんかん』もおすすめです。

信長の語りと、人と人とのつながりを楽しむ

久秀の人物像に加えて、本作で楽しみたいのが、信長を語り手にした構成です。久秀の人生を追うだけでなく、信長が又九郎へその話をしている場面もあります。誰かの半生を、別の人物がどう語るのかにも関心が向く作りです。

久秀の若い頃と信長が語る場面を無理なく行き来でき、人の生き方を考えさせられる点もよかったという人がいます。

久秀に背かれた信長が語るからこそ、昔の出来事だけでなく、2人の関係にも目が向きます。怒りを覚悟した又九郎と一緒に、読者も信長が知る久秀の姿へ耳を傾けることになります。

武将がどの戦に勝ったかに加え、人との関わりが久秀の人生に何をもたらすかも読みたい方に向いています。人を信じることが難しい時代だからこそ、その関係を保つ難しさにも目を向けたい作品です。

ユウ

「俺、やっぱり話を聞く役がいいな。悪い知らせを伝えるより楽そう」

ミナ

「じゃあ私も、ユウに話を聞いてもらおうかな」

ユウ

「任せて。何の話?」

ミナ

「私のこれまでの人生」

ユウ

「それ、思ったより長い話じゃない?」

ミナ

「どこから話すと分かりやすいかな。小学校に入る前から?」

ユウ

「俺、気軽に聞き役へ立候補しすぎたかも」

ミナ

「さっきは天気を伝える係も私に頼もうとしてたし、お互いさま」

ユウ

「今日はいい天気だね」

ミナ

「そんなところで前置きを使わないで」

Audible版の堂島颯人さんの朗読は、どんなふうに聞こえる?

朗読を担当する堂島颯人(どうじま はやと)さんは、アニメ『ラブオールプレー』で一ノ瀬俊輔を演じる声優です。

物語と堂島さんの朗読を楽しんだ一方、倍速で聴くと聞き取りづらい箇所があったという人がいます。

信長が又九郎に語る場面と久秀の過去を耳で追ううえで、声の好みや普段の速さでの聞き取りが気になる方には、最初に『じんかん』のプレビューを聴くのがおすすめです。

『じんかん』のオーディブルは15時間21分、文庫も選べる

『じんかん』の日本語のオーディブル版は、再生時間15時間21分です。2026年10月現在、プレミアムプランの聴き放題の対象です。

久秀や信長の言葉を文章で味わいたい方や、紙で手に取りたい方には、『じんかん』の文庫もおすすめです。

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